fc2ブログ
2007.06.13

超滑稽なウコッケイ

昼。
JR東日本の、もっと言うならば北海道某所の、札幌近郊を走るある列車の、ある車両の中でぼくは揺られていた。
車内は空いていて、吊り革にしがみついているのはぼくともう一人のお姉さんくらいだ。
退屈で見慣れた景色は視界の端で、早送りのムービーのように過ぎ去る。

暇つぶしにどうぞ。という注意書きがあってもおかしくないような車内広告を一通り眺め、まだ降りるまで数駅あることを確かめると自然とため息が出た。
静かな車内には、若い男二人の会話だけが響いている。
暇つぶしにどうぞ。と聞こえた気がしたのでお言葉に甘えることにしよう。


 なあ、あの席みろよ。
 なになに?あの空席?
 そうあの空席。立ってる人がいるのになぜか誰も座らない。なんでだかわかる?
 さぁ。なんで?
 あそこには幽霊が座っているんだって。バカにしか見えない幽霊が。
 ってことは立ってるやつらはバカだから幽霊が見えてて、空席がないと思ってるわけか。
 そういうこと。
 あれ、でも俺もお前もバカなのに見えないじゃないか。
 ああ。バカには見えないんだっけな。忘れた。
 なんだよそれ。


彼らが指差す先には、大人一人では多少狭いと感じるくらいの空席が一つ。
勿論、賢いぼくには幽霊なんて見えないので、ドッカリと座ってやった。
スポンサーサイト




この記事へのトラックバックURL
http://sinngari.blog86.fc2.com/tb.php/83-a8b46e09
この記事へのトラックバック
この記事へのコメント
管理者にだけ表示を許可する